TRS-1000を作ろう!


ミニFM世代としては

ミニFM世代の皆さんは、ミニFM送信機という物に特別な思い入れがあるはずです。
かく言う私も、エレキットのステレオ送信機(専用ケース入りのしっかりした物)でミニFMを開局していた事があります(15年くらい前でしょうか・・・)
ただ、周波数もステレオMPXもLC発振で作られていた物だったので、周波数安定度は劣悪・・・。ステレオも、チューナによっては受信できなかったりする送信機でした。乾電池駆動だったので、送信時間も稼げませんでした。
将来、もっとしっかりした送信機で再度開局しようと思っていたのですが、喋るのが下手なのでその計画自体が頓挫していました。

2年くらい前、WEBでGFM-L9という送信機を発見したときに、再度始めようかと思ったのですが、完成品しかなく、金額もそこそこするので止めてしまいました。

お風呂場ラジオが

ラジオ好きな私は、風呂場でもラジオを聞いています。
小・中・高と使っていたお風呂場ラジオが壊れてから風呂場にラジオを置いていなかったのですが、先日\980で売っていたので購入してしまいました。
しかし、値段相応なのか弱電界地域なのか、FMが殆ど受信できません。AMも地元のSBSのみ・・。
他の放送を聞きながら風呂に入りたいので、再送信のためにミニFM送信機を作る事にしました。

ミニFM送信機を探す

と言うわけで、ミニFM送信機を作るのですが、下記の条件で探す事にしました。
1.送信周波数が安定している物
2.ステレオMPXは水晶発振の物
3.できればキット

キットや完成品で現在入手できるのは、下記製品くらいでしょうか。
GFM-L9
YO-10B
FMステレオ・トランスミッタキット(秋月)
PS-474R
FM-Mistyの送信機
TRS-1000

条件を照らし合わせると、TRS-1000が良さそうなので購入する事にしました。中部特機産業さんに注文で、金額はキット本体\9,800・専用ケース\2,500・ブースターキット\1,000でした。

2006.01.15追加
エレキットからPU-2106という完成品の基板が、2005年12月9日に発売されました。
周波数が固定ですが、PLL方式を採用しています。
この金額(\3,990)で、PLL方式の送信機が購入できるようになったのですね。
メインの部品は、ロームのBH1416Fのようです。
ということは、ほとんどがBH1416Fで処理しているのね。
車載用のFMトランスミッターと同等くらいの性能かな?

早速組み立てる

注文した翌日には、届きました。週末に早速組み立てです。


こんな感じで届きました。取説はブロック図の説明が1枚、部品表・回路図・簡単な調整方法が書いてある1枚のみです。



部品表を見ながら、背の低い部品から取り付けていきます。
しかし、ピッチの合わない部品が多いぞ~。
綺麗に取り付けられるように、部品を加工しながら取り付けていきます。

あと、私のこだわりとしては、抵抗の向きを合わせて実装。半田が部品面まであがるように取り付けでしょうか。
久しぶりの完全DIP基板なので、結構疲れます(今は仕事でもこういう基板は作らないです)



とりあえず部品が実装できました。
基板を洗浄していたので、実装に4時間くらいかかっています。

ただ、ここまで行くのに結構な苦労が・・・。
同じキットを作る人のために書いておくと、
・積層セラミックコンデンサ(青色の小さいやつ)とセラミックコンデンサ(茶色のやつ)の数が合わなかったので、C81/C83を積層セラミックコンデンサに変更
・部品表では220Ωの抵抗が実際には200Ωが入っていた(ただ、この値にすると電波が歪んでしまう気がしますが・・・20Ωじゃ特に問題ないと思うけど)
・ピッチが合わない部品が多数(工夫して実装するしかないですね)
・隣の部品同士で干渉する(これも工夫して実装するしかないですね)
・音声入力部のフィルムコンデンサが容量が一緒だが同一部品でない(音質にこだわる人は、ここだけでダメかな?)

あと、どうしても判断出来ないところがあったので、キットの販売元に確認しました。
・L21/L41/L42は内径3mmで7巻き
このコイルの巻き方を、ペラ1枚の取説で確認するのは至難の業だと思うのですが・・・中部特機産業さん。

ブースターキットを購入した人は、この時点で一緒に実装してしまう方が良いですね。ブースターキットの部品表にも書いてありますが、C34を実装しないように注意してください(志賀さんTNX!)

早速通電

実装に間違いがない事を確認して、早速通電します・・・が、動かない(汗)
とりあえず、電源部の3端子レギュレータの電圧を確認します。

「あれ?動いてない・・・」

3端子レギュレータすら動いていないのです。
回路図を見ると、「RA1とCA1が接続されないと動かないやん!」
部品表には一切書いていません。
どういう意図かわからなかったので、再度キットの販売元に連絡です。
「電源用のLPFなんですよ~。ハム音がひどかったら入れてください」とのこと。
とりあえずはRA1にジャンパをして欲しいとの事。なんだよ~それ。取説に書いてください・・・。

RA1にジャンパをして、再度通電です。
「お!電源は入った」「しかし、PLLがロックしてないなぁ」
希望周波数(83.7MHz)にして、コイル(L21)を調整します。
「お!ロックしたロックした」
前後1MHz位、PLLがロックするように微調整します。
IC55の5番ピンの電圧を測定して、3.5Vあるのを確認。
以上で、調整終了。再現性は意外に良いようです。


しかし、無音時にハム音が・・・。無音時に聞こえる程度なので、そんなに影響はないのですが、ちょっと気になってしまいます。
スイッチングタイプのACアダプタではなく、トランス式のACアダプタなので、リップルがひどいのかな?
後日、CA1に低ESRの1000uF位入れてみましょう(入手できれば(笑))
入手できなかったら、普通の1000uFかな・・・。

ケース組み込み

一通り動いたので、ケースに組み込みます。



ん・・・基板を止めるネジがない。おいおい・・・。ケースを止めるネジはあるのに・・・。
3mm×6mm位のタッピングビスを別途用意する必要がありそうです。
あ、あと、3端子レギュレータも、ネジで留めておいたほうが良さそうです。

この辺も、後日準備しましょう。


で、完成するとこんな感じになります。

ケースは加工済みなので、簡単簡単。

気になる?出力は

微弱な出力を測定する機械を持っていないので、何mW出ているかわからないのですが、μPC1677Cを直接ドライブできるようなので、そこそこの出力があるようです・・・。

しか~し、微弱電波を使用する事になるので、電波法の「標準の送信アンテナから3m離れたところで標準のアンテナで受けた電界強度が500uV/m」という事を忘れてはいけません。
簡単に言うと、「数十メートルしか飛ばしちゃダメよ」と言う事です。
距離を伸ばすときは、受信側を良くするようにしなければなりません。
送信側は出力UPしてはいけません。

ちなみに、この送信機だと、外部アンテナを繋いだら一発でNGです。
電波法違反になるので、注意してね。

キットとしては

このキット、初心者にはお勧めしません。エレキットみたいな気分で製作すると、途中で躓くでしょう・・・。
どうも、キットと言うより、どっかの製品に乗せられていた物のようで、工場で作るのを前提に出来ています。
アナログ部分があっても再現性は良いので、良い製品なのですが、製作はちょっと難しいでしょう。
自信のない人は、完成品をお勧めします。

コンデンサを追加してみた

ハム音軽減のために、LPF用のCA1にコンデンサを追加してみました。
低ESR用のコンデンサが見あたらなかったので、通常のコンデンサを実装しました。


茶色の一番大きいコンデンサです。1000uF/16Vを追加。

で、使用してみましたが・・・ハム音は変わらず。電源ラインではないようです。むう・・・。
ACアダプタが表示は13.5Vになっていますが、負荷をかけても18V位あるのでコンデンサを取り外してしまいました。

フェライトコアを巻き付けてみた

ハム音について、ボロンさんから「電源ラインにフェライトコアを巻き付けると効果がある」というご意見をいただきました!(ありがとうございます)
で、さっそく試してみました。


とりあえず、手持ちのフェライトコアに2ターンしてみた。
(EMCセンターの人曰く、1ターンが「通すだけ」、2ターンが「1回巻き付け」らしいです。この辺は詳しくなくて・・・)

確認したのですが・・・ん~、ハム音は無くなっていませんでした。
残念。
コモンモードノイズではなさそうな感じです。
このキットを作成した頃は、オシロを持っていなかったけど、今は(安物だけど)オシロがあるので、しっかり調べた方が良さそうですね。

2003.10.05/2003.10.13/2003.12.08/2006.01.15/2006.07.16
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