DG-120で回転アンテナ


とある日

5月のある日、WARDさんからメールニュースが届きました。
その中に「Jaeger DG-120 DiSEqC H-H Mount」の文字が。
それは、話題になっていたDiSEqCでアンテナを回転させるH-Hモータだったのです。
予約特典で\28,000だったので、その日の内に注文していました。

このDG-120というのはDiSEqC1.2対応のH-Hマウントで、DiSEqC1.2対応のチューナがあれば、同軸一本でアンテナの回転制御と受信を行う事ができる便利な装置です。
その代わり、「チューナから電源を供給するので大きなお皿が使えない」とか、「チューナとの相性が結構ある」とか問題もあったりします・・・。

このDG-120と、以前WARDさんで購入した75cmアンテナを使って、Kuバンドを受信してみる事にします。

届いた!

5月20日に届きました。


こんな箱に入っていました。



外観はこんな感じです。回転装置の先のマストが下を向くように取り付けます。

設置の前に設定を

H-H方式なので、H-H-Vの時みたいにアバウトに取り付けられません。
しっかり計算して取り付けます。

まずは、回転装置の角度を設定します。回転装置にはLATITUDE(緯度)とELEVATION(仰角)の2種類の目盛りがあるので、設定しやすい値で固定します。


私の所では、緯度が35度なので、「35」の所で固定します。ネジの位置ではなくて、矢印があるので注意を。
仰角の場合は、「55」の所に合わせます。

仰角の計算方法ですが、「90-緯度」で計算します。私の所では35度なので、「90-35=55」で、55の所に合わせるわけです。
なぜこうなるかというと、回転装置の回転軸を地球の回転軸と平行になる必要があるからです。そうですね、衛星は赤道上空を飛んでいるのですから、地球の回転軸と平行になっていれば赤道上をなぞれるわけです。


適当な図で申し訳ない。


次に、デクリネーション角の設定をします。取扱説明書に「40°」と書いてあるので、アンテナの角度を、その通りに設定します。
そんなわけはありません。ちゃんと設定しましょう。
取扱説明書最後の方に、「ELEVATION AND DECLINATION ANGLE TABLE」というページがあると思いますので、自分の緯度からデクリネーション角を調べます。私の所だと、5.641度位です。
また、取扱説明書に「40°- DECLINATION ANGLE」の値にアンテナ本体の角度を設定しろとありますので、「40-5.641=34.359→約35度」に合わせます。
(ご指摘ありがとうございます>shlさん)
ちなみに、私の取説にはデクリネーションの表が付いていなく、取説を読んでも「どこから算出するよ?」という状態でした。なんだかなぁ。


ちょっと見にくいですが、これで35度に設定しています。

デクリネーション角とは何かというと・・・
先ほどの地球の回転軸と回転装置の回転軸を平行にしただけだと、衛星よりも上(北)をなぞってしまいます。赤道上空の衛星を狙うために、少し角度を付けてあげる必要があるのです。


こんな理屈。ちょっと図が怪しいのは、角度を正確に書いていないから(笑)

計算方法は、こんな感じ。
受信点の緯度をN度、地球の半径(km)をr=6400、衛星の軌道半径(km)をR=r+36000とするとデクリネーション角θは、
θ=arctan((sin(N)*r)/(R-cos(N)*r))
になります。

私の住んでいるところは35度なので、ラジアンにすると約0.6135。
その値を入れると・・・
θ=arctan((sin(0.6135)*6400)/(6400+36000-cos(0.6135)*6400))
 ≒0.09882
0.09882radをdegreeに変換すると、5.66度になり、先ほど設定した値とほぼ同じになります。


なぜ、「40°−デクリネーション角」なのかというと、回転装置のマストにオフセットがついているからです。
写真を見るとわかると思いますが、象さんの鼻のように下を向いているでしょ?この角度が40度なのです。


ここの角度が40度なのです。

オフセットがついている理由は、この回転装置にオフセットアンテナを使用するときに、便利だからです。
オフセットアンテナは水平に向けても大体30度位の仰角が付いているので、アンテナ自身で5度の仰角を出すのは大変難しいのです。
オフセットが付いていれば、そんな無理な角度ではなくなるので、使いやすくなります。
・・・そう、センターフィードアンテナにはこの装置はあまり向いていないという事です。


ちなみに、結論から言うと、この設定がちゃんとしていれば、苦労せずに調整ができます。
調整して最適な状態にしても、この設定から大きく違いませんでした。

いざ設置!

まずは、マストの取り付けです。これはしっかり垂直を出すようにしましょう。


水平器とかを使って、垂直を出します。垂直をしっかり出さないと、あとで絶対に泣きます。


そのあと、「回転装置にアンテナを取り付ける→回転装置・アンテナをマストに取り付ける」か「マストに回転装置を取り付ける→回転装置にアンテナを取り付ける」かのどちらか作業のしやすい順序で取り付けていきます。


ちなみに、私の場合、回転装置をマストに取り付けてからアンテナを取り付けたのですが、ひどい目に遭いました(笑)
下向きに回転装置のマストが出ているので、10kgもあるアンテナを抱えながらネジ止めする羽目になったのです。



回転装置を正確に「真南」に向けます。ここはキモです。
前述の設定と、この真南をしっかり設定すれば、結構簡単に取り付けられると思います。
回転装置を動作させていなければ、回転装置は「0度」の向きになっていると思いますので、アンテナ本体もしっかり真南に向けます。



LNBFは「0度」で設定します。ちなみに、このLNBFはWARDさんで扱っているZKF-H21Nです。11.3GHz、13V/18Vという、海外衛星向きです。

調整

ここまで準備できたら、チューナに繋いで調整を行います。
できれば、簡易でも良いのでスペアナが欲しいですね。

回転装置本体にWEST/EASTのボタンが付いているので、チューナで給電しながら、WEST/EASTボタンを使いスペアナの画面で調整を行います。
(このボタンで移動させても、チューナの「Goto 0」などで「0度」の位置まで戻す事ができます)

今までの事項をしっかり守っていれば、大体の衛星を「なぞれる」ようになっているはずです。

・西と東でスペアナの山の高さが違う
この場合、回転装置が真南に設置されていないと思われます。
特に、方位磁石などを使う場合、「磁北」と「真北」の関係をお忘れ無く。

・南の衛星の時だけスペアナの山が小さくなる
デクリネーション角が正しく設定されていないようです。
マストの垂直が出ていない場合、この辺をいじってもドツボにはまるだけです。

・全体的にスペアナの山が小さい
経度(仰角)の設定が正しくないようです。
こっちも、マストの垂直が出ていないと、ドツボにはまります。

・特定の衛星だけ垂直と水平の切れが悪い
一部の日本の衛星は、日本国内でLNBFが0度の向きになるように調整しているようです(JCSAT-1Bなど)
諦めてください(笑)


ちなみに、最初は仮設置でこのような状態で取り付けていました。

マストが、「回転装置+アンテナ」の重さに負けて、前のめりになっています。
全然垂直が出ていません・・・。なので、いくら調整しても調子よく受信できませんでした。

完成!

同軸を綺麗に這わせて完成です。
回転装置に取り付ける同軸+コネクタが回転装置のマストと干渉するので、注意が必要です。


こんな感じに取り付けました。



ASIASAT-3Sに向けたとき。



PAS-2に向けたとき。

受信できる衛星

この構成で受信できる衛星は下記の通りです。

東から
PAS-2(東経169度)
PAS-8(東経166度)
SuperbirdB2(東経162度)
SuperbirdA(東経158度)
JCSAT-2A(東経154度)
JCSAT-1B(東経150度)
Superbird C(東経144度)
N-STARb(東経136度)
N-STARa(東経132度)
JCSAT-3(東経128度)
JCSAT-4A(東経124度)
Asiasat-3S(東経105.5度)

Asiasat-3Sより西の衛星は、杉林が邪魔をするため受信できません。

チューナの話

ちなみに、チューナはGLOBALのGSR-1110を使用しています(というか、私が持っているDiSEqC1.2対応チューナはこれしかない(笑))


Menu→Installation→Satellite setupで、使いたい衛星のDiSEqCを1.2に設定します。


ここのDiSEqCを1.2にします。ちなみに、Mini A/Mini B/Port 1/Port 2/Port 3/Port 4/1.2/Offと切り替わります。
そう、DiSEqCスイッチ(切替器)とDiSEqCモータとの共用ができないのです。



Menu→Installation→Satellite position setupでアンテナの向きを調整します。


Limitは設定する必要のある時だけ設定します(一定以上動かすと、何かにぶつかるとか)
Position moveで、西・東に動かします。
位置が決まったら、Position saveで保存します。



あとは、固定アンテナと同じように受信します。
Menu→Installation→TP edit & scanで周波数、SR、偏波を設定し、スキャンします。


GSR-1110は、衛星単位での選局ができないので、チャンネル選択を間違えるとアンテナが動き出します・・・。
あと、たまに素っ頓狂な方向に向かうときがあるし。
使い勝手はまあまあでしょう。チューナの能力もまあまあですし。

だれか、新しいチューナください(笑)

2003.12.30/2004.01.11
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